教育について  当科の特徴と研修の概要

当科の特徴と研修の概要

はじめに

  • これからの放射線治療・医学 物理、放射線生物学の発展
  • これからの放射線治療・医学 物理、放射線生物学の発展

これからの放射線治療・医学
物理、放射線生物学の発展

1990年台後半から現在まで、放射線治療の世界ではIT技術の進歩やテクノロジーの進歩により、もっぱら高精度放射線治療機器の開発が日進月歩あるいはそれよりも早いスピードで進んできました。この進化により、周囲の正常組織へのダメージを抑えつつがん病巣をピンポイントで照射することが可能となり、治療成績の向上が得られました。

これらの技術を保障する大切な職種が医学物理士であり、その機器管理などのサポートがなければ現在の高精度治療は成立しないといっても過言ではありません。この分野は上記のように近年とみに発展してきており、研究対象も多岐にわたっています。当教室では高精度治療の研究テーマに放射線生物学的視野を加え、さらに新設された粒子線治療分野においても精力的に研究を進めていく予定です。

  • これからの放射線治療・医学 物理、放射線生物学の発展
  • これからの放射線治療・医学 物理、放射線生物学の発展

そして、放射線生物学については、古典的には4Rに示されるようにがん細胞に対する放射線の効果発現に関する観察や抗癌剤による増感効果などの研究がなされてきました。現在ではがんそのものの振る舞いの詳細を追い求めて癌幹細胞の研究や、治療抵抗性の克服、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの研究が精力的になされ、放射線治療とのコラボレーションの時代に入りつつあり、新しい知見が続々と得られる土壌が醸成されつつあるといえます。当教室ではこれらの放射線生物学の深い理解による新たな放射線治療戦略の開発も重要な使命であると考え、若手の研究スタッフを中心に多くの大学院生、学部生が幅広い実験にあたっています。

おおまかな研究テーマとしては、放射線増感剤の研究、マイクロRNAと放射線耐性の研究、癌幹細胞による治療抵抗性の理解、放射線治療と免疫チェックポイント阻害剤との併用研究、放射線唾液腺障害克服のための唾液腺再生研究、また患者血液を用いた放射線治療効果予測のためのバイオマーカーの研究などを行っています。すでに研究の幅は当教室のみならず、連携する他科の教室にも広がり、互いの研究結果から実際の治療に応用できるようなシーズの発見を目指して研究を進めています。

がん対策 注目集める放射線治療

現在、日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人が死亡しているとされています。 既に死因の第1位になっているがんですが、高齢化の加速とともに10年後は2人に1人が死亡するという指摘もあります。 がんはまさに“国民病”であり、国を挙げて取り組むべき課題となっています。

放射線治療は最近のIT革命により長足の進歩を遂げ、手術に代わって放射線治療を主体にしながら治癒をめざせるようになってきました。 脳腫瘍や頭頸部がん、肺がん、食道がん、乳がん、子宮頸がん、前立腺がんなどがそれに当たります。 がん患者の高齢化が進むなか、切らずに治す放射線治療が、治療の主役の一つとして注目を集めています。

足りない放射線治療専門医

このような現状の一方で、日本は「先進国で最も放射線治療が行われていない国」と指摘されています。 米国ではがん患者の3人に2人が放射線治療を受けますが、日本では3人に1人にとどまっています。

放射線治療の普及が遅れている原因として、専門医・認定医などのマンパワー不足が挙げらています。 日本では医療施設に従事する医師は25万6668人(2004年末)いますが、このうち放射線科の医師は4780人(1.9%)にすぎません。 日本医学放射線学会の放射線治療専門医となると1019人です。

急増する放射線治療の需要には、まだまだ放射線治療医が不足しています。

専門医プログラムの育成方針

大阪大学専門医プログラムの目標は、放射線腫瘍学を中心とした臨床腫瘍学全般および生物学、物理学の広い知識を身につけ、全国で通用する放射線治療専門医を育成することです。

さらに世界の放射線治療をリードしていくような優秀な研究者、放射線腫瘍学の知識を広げるための教育者の育成も同時に行っていきます。 勉強会や他科とのカンファレンスを頻回に行っており、広い視野で放射線治療について学ぶことが可能です。

当科の特徴

大阪大学放射線治療科は明るい雰囲気で活気があり、
各々の目標が達成し易い環境であることが大きな特徴です。

当科の特徴

現在までに当科に入局した約半数が、大阪大学以外を卒業した方々です。従いまして、大阪大学以外を卒業した方でも安心して入局することができます。また、近年は女性医師の入局も増えてきており、出産・育児等に対応した女性医師が働きやすいような勤務体制もとっています。

臨床・研修時の被曝もゼロであり、臨床・教育・研究の全てで充実した環境となっています。さらには、研修中であっても、放射線治療の勉強をしっかりと行いつつ充分な収入を得ることができるのも当科の特徴となっています。

Characteristic Point

  • ・明るい雰囲気で活気がある環境
  • ・自主的に行動しやすい環境
  • ・各々の目標の到達が容易
  • ・入局者の約半数が大阪大学以外の卒業者
  • ・出身大学の区別なく、第一線で活躍している教室出身者が大多数
  • ・女性医師が働きやすい環境
  • ・出産・育児等に関して女性医師に配慮した勤務体制
  • ・生活におけるQOLにも配慮
  • ・臨床・教育・研究の全てで充実した環境
  • ・通常の臨床・研修時の被曝がゼロ
  • ・放射線治療の勉強をしっかりと行いながら充分な収入を得ることが可能
  • 当科の特徴
  • 当科の特徴

大阪大学とがんプロフェッショナル養成基盤推進プラン

現在我が国では、がん専門の医師、医療スタッフ並びに研究者の不足のため、がんの医療体制、治療成績において各地域間の格差が認められています。
がんプロフェッショナル養成基盤推進プランは、高度ながん医療、がん研究等を実践できる優れたがん専門医療人を育成することでこの格差を均てん化し、将来の日本のがん医療の向上と新しい診断法・治療法の開発の担い手となるべき人材の育成を目的として、大阪大学を中心として近畿圏7大学がそれぞれの個性や特色、得意分野を活かしながら相互に連携・補完して教育を活性化し、がん専門医療人養成のための拠点を構築することを目指したプログラムになっています。

当教室及び、関連教室である保健学専攻医用物理工学講座 放射線腫瘍学研究室では、これまでの治療医育成の実績と、国内に先がけて医学物理室を設立した実績により、このプログラムのうち放射線治療専門医育成及び医学物理士育成を主に担当しています。

なおプログラムには以下のように様々なコースがあり、各人の目的に合わせた研修プログラムを組むことが可能です。
これらは大きく分けて、放射線治療医育成コースと、医学物理士育成コースに別れます。
それぞれの研修プログラムの詳細に目を通していただき、当教室での研修を是非選択してください。

大学院コース

  • ・集学的放射線治療専門医・研究者養成コース
  • ・高度臨床医学物理士養成コース
  • ・先端医学物理コースI(医療技術系修了者コース)
  • ・先端医学物理コースⅡ(理工系修了者コース)
  • ・先駆的医学物理研究コース(博士後期課程)

インテンシブコース

  • ・医学物理士スキルアップコース
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